土地家屋調査士は、不動産の測量調査を豊かな法律知識と専門技術で社会に貢献しています。

土地に関する質問

地目編

Q1.地目変更とは?
数年前に畑を購入し、そこに家を新築しました。近く銀行から融資を受けるために、土地と建物の登記簿謄本を提出したところ、土地の地目が畑のままになっているので宅地に地目変更するように言われましたが、どのようなことか説明して下さい。

 不動産登記法施行令には、地目は、土地の主たる用途により、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公乗用道路、公園、雑種地に区分されています。あなたの場合は建物が新築されていますので、その敷地は前記のうちの宅地にあたります。
しかし、建物が新築されても自動的に登記簿の地目が宅地に書き換えられる訳ではありません。その土地が事実上畑から宅地に変わった日、つまり、あなたの建物の完成の日を原因日付として地目変更の登記をしなければなりません。この手続きには、土地を購入する際に受けた、農地法の許可書(市街化区域の場合は受理通知書)を添付して登記を申請することになります。
なお、不動産登記法によれば、変更の日より1ヵ月内に、土地の所有者は地目変更の登記をしなければならないことになっています。

Q2.畑を駐車場にしたいのですが?

 自分の土地だからといって畑(農地)を勝手に他の用途に変更することはできません。事前に各市町村役場の農業委員会に対して届け出または許可申請が必要です。
その土地が都市計画法で市街化区域に指定されていれば届け出で済みますが、市街化調整区域等であれば許可の申請が必要になります。「許可」申請ということは許可されない場合もあるということです。
市街化区域以外では、駐車場に限らず農地を他の用途に変更する場合は規制がありますので、事前に土地家屋調査士にご相談ください。
なお、登記簿に記載されている地目を他の地目に変更した場合は、1ヶ月以内にその登記をしなければなりません。

Q3.家庭用菜園は畑に地目変更できますか?
宅地の一部を畑にして野菜を栽培しているのですが、この部分を畑に地目変更することはできますか。

 宅地の一部を利用して自家用の野菜を栽培する、いわゆる家庭菜園と呼ばれる畑は、登記法上の畑と認定することはできません。ただし、宅地のうちのかなり広い部分を畑として使用している場合、畑と認定できる場合がありますので、土地家屋調査士にご相談ください。畑と認定できる場合であれば、その部分を分筆し地目変更登記をします。

Q4.農地転用の届け出をして家を建てたのに登記簿の地目が変わっていないのですが?
農地転用の許可を受けて、数筆の畑にまたがって住宅を新築しましたが、土地の登記簿の地目は畑のままになっています。なお、畑はすべて自分の土地で、互いに隣接しています。

 自分名義の農地を農地以外の目的で使用する場合には、都道府県知事の許可が必要です。農地を勝手にほかの目的に利用することは一般には禁止されていますが、この許可を受ければ、農地以外に利用することができます。しかし、許可を受けただけでは地目は変わりません。例えば、目的地に建物が建つなど、現況が宅地として認められるような状況になったとき、初めて宅地になります。
相談のケースでは、農地転用の許可を受けて住宅を新築したとのことですので、現況地目は宅地になったと思われます(ただし、広大な土地の一部に建物を建てた場合、その土地全部を宅地としては認められない場合もあります)。このように、地目に変更が生じた場合、不動産登記法では、所有者は1ヶ月以内にその土地を管轄する法務局に、地目変更の登記を申請しなければならないことになっています。つまり、土地の状況について最もよく事情を知っている所有者本人に、地目変更の登記を申請する義務が課せられているのです。
なお、質問の土地は数筆に分かれているようですが、敷地が何筆もあると煩わしいものです。この機会に合筆登記をお勤めします。同じ所有者の土地で隣接しておリ、地目が同じなどの一定の要件を満たしていれば、数筆の土地を1筆の土地にすることができます。合筆するかどうかは所有者の自由ですので、地目変更登記と違って申請の義務はありませんが、登記簿上の表示と現況を一致させ、分かりやすくするためには有効な手続きです。

Q5.荒れた畑を雑種地に地目変更したいのですが?
農地転用の許可を受けて、数筆の畑にまたがって住宅を新築しましたが、土地の登記簿の地目は畑のままになっています。なお、畑はすべて自分の土地で、互いに隣接しています。

 不動産登記では地目が、土地の主たる用途により、田、畑、宅地、山林、公衆用道路などと決められていますが、雑種地は法定された地目のいずれにも該当しない土地の場合の地目です。たとえば、駐車場や資材置場、水力発電のための水路および排水路、競馬場内の馬場、高圧線の下の土地でほかの目的に使用できない区域、鉄塔や変電所の敷地、記念碑や記念樹の敷地などがあります。
このように、雑種地として認められるのは、ある特定の目的のもとに利用されてはいるものの、法で定められた特定の地目のどれにも該当しない場合です。
そこで、減反で荒れた田を雑種地に地目変更ができるかということですが、所有者において特定の目的のために利用することを放棄している休耕地の場合は、単にその利用目的が判然としないという理由だけですから、雑種地として取り扱うことはできません。雑草が生い茂って原野に近い様相を呈していても、雑草などを除去して田として使用することが可能な場合は、従来通り田として取り扱います。
このように地目は、その状況が一時的なものであるかどうか、あるいは対象土地が本来の使用の仕方をされているかどうかなどを、周囲の状況、使用経緯、将来の利用見込みなどを総合して判断した上で決まります。
特に農地については農地法上の制限がありますので、各市町村の農業委員会にもご相談ください。

Q6.原野を開墾して畑にしたのですが?
私は、自己所有の原野を畑に開墾し、耕作の利便を図るため、自己所有の隣接の畑と合わせて一枚の畑にしまじた。必要な登記手続きをしたいのですが、どのような手続きをしたらよいでしょうか。

 原野を畑に開墾されたということですので、まず地目変更登記か必要です。この場合、原野の全部を畑に変更されたのであれば,、その土地全部を畑に変更した旨の地目変更登記をしなければなりません。また、原野の一部を畑に変更されたのであれば、その部分を分筆し、地目変更登記を行います。
次に、開墾した畑とあなた所有の隣接した畑をi一枚の土地として利用されているということですが、このままでは法的には一つの土地とは認められません。同一所有者の数筆の土地を合併して一筆の土地とすることを合筆登記と言いますが、あなたの場合もこの合筆登記が必要です。
ところで、この合筆登記を行うには、合筆する数筆の土地が、
1.互いに接続していること。
2.同一地目であること。
3.原則として所有権以外の登記かされていないこと(例えば抵当権などの登記がなされていないこと、ただし例外があります。)。
4.字(あざ)が異なっていないこと。
などの要件を満たす必要がありますので、ご注意下さい。

分筆編

Q1.土地の一部を隣の人に売りたいのですが?
私の土地の一部を隣の方に売りたいのですが、どのようにしたらよいのでしょうか?

 土地の一部の売買ということですので、まず売買する部分の分筆登記が必要です。分筆登記というのは、一筆の土地を2筆あるいは数筆の土地に分ける登記のことです。
分筆登記を行うには、分筆する前の土地の全体の範囲とを現地において確認し、さらには譲り渡す土地の範囲を特定しなければなりません。そのためには隣接所有者と境界立ち会いを行う必要があります。
この境界の立ち会いの際には、法務局から土地の登記簿謄本や公図等を取り寄せ、それらの資料に基づいて、境界を決めなければなりません。もし、法務局に17条地図や関係する土地の地積測量図が備え付けられていれば、それらの資料を基に事前に境界の復元作業を行う必要があります。
立ち会いの結果、境界の確認ができたなら、後日のトラブルを防止するためその場所に境界標を埋設し、できるだけ境界の確認書を取り交わすことが必要です。その後、確定測量を行い、その成果に基づき地積測量図を作成し、これを添付して所轄の法務局に分筆登記申請を行います。
分筆登記を行った後に、分筆した土地について隣の方に売買した旨の登記を行うことになります。
なお、境界確認から分筆登記手続までは、土地家屋調査士が行い、売買の登記は司法書士が行います。また、その土地が農地の場合は、農業委員会の許可が必要になる場合もありますので、ご注意ください。

Q2.亡父の土地を兄弟で分割して相続したいのですが?
亡父親の土地を、兄弟で分けたいのですがどうすればよろしいのでしょうか?

 この場合は相続が関係しますが、通常は亡父の相続人全員から分筆登記を申請いたします。遺産を相続人間でどのように分けるかを決めた遺産分割協議書を作成し、それに基づいて分筆登記をします。その後にそれぞれの相続人に相続登記をすることになります。

Q3.土地の分筆を依頼したところ、分筆する部分だけでなく土地全部の測量が必要だと言われましたが?
土地家屋調査士に土地の分筆を依頼したところ、分筆する部分だけでなく元の土地全体を測量する必要があると言われました。費用も余分にかかることになるので、分筆する部分だけの測量はできないのでしょうか。

 一般に、分筆登記は分筆する部分だけを測量すればよいと思われがちですし、確かに数年前までは慣例でそのような手続がなされてきた経緯があります。しかし、もともと不動産登記法上では、分筆登記は一つの土地を二つ以上の土地に分ける登記であるという考えに立っていますので、今では法務局もその原則に立ち返り、幾つかの例外を除いて分筆する前の土地の全体の特定を必ずしなければならなくなりました。そのため、ご質問のように、分筆する前の土地全部について境界を確認し、測量をすることが必要になります。

Q4.宅地と雑種地を等面積で交換したのに登記簿の面積が違っているのですが?
私所有の宅地と隣接の雑種地を、都合により等面積に分筆して交換しました。
後日、交換した土地の登記簿謄本を見たところ、私が取得した土地の方が0.80㎡少ないことに気づきました。なぜでしょうか。

 登記簿の表題部には所在、地番、地目、地積が記載されています。このうち地積については 、地目が宅地や鉱泉地の土地、あるいは地目にかかわらず10㎡を超えない土地は1㎡の100分の1までを記載することになっていますが、それ以外の土地については1㎡未満の端数は記載されません。
お尋ねのケースでは、あなたが取得した土地は雑種地ですので、登記簿には1㎡未満の端数は記載されず、もし仮に実測面積が100.81㎡であっても、登記簿の地積は「100㎡」と記載されることになります。しかし、分筆登記をした際に添付された地積測量図には、この1㎡未満の数値が記載されていますので、後日取得された雑種地を宅地に地目変更の登記をした場合には、切り捨てられていた1㎡未満の端数が表示され、地積は「100.81㎡」と記載されることになります。

Q5.隣接地との凸凹の境界線をまっすぐにしたのですが?
私の所有地と隣接地との境界が凹凸状であったため、交換して直線的にブロック塀で区切りをしました。このままの境界で問題はないのでしょうか。

 連続的に広がっている個々の土地を区別するものとして法律上の線があります。その線で囲まれた範囲をほかの土地と区別するため、通常はその土地ごとに地番がつけられています。つまり、地番を定めて区切りを付けた部分が1筆(1登記簿)の土地です。1筆の土地ごとの境界線を、不動産登記法上で「筆界又は地番界」といいます。一般的に、「境界」といわれているものです。
ところで、「1筆の土地を囲んだ範囲の境界(筆界)」と「所有権の及ぶ範囲の境」は、通常一致しているものです。しかし、お尋ねのように、公法上で定めている「境界(筆界)」を、話し合いなどで変更した場合には、これらが一致しないことになります。この場合、たとえ堅固なブロック塀で土地を区切っても不動産登記法上の「境界(筆界)」を変更したことにはなりません。
このように土地の交換があったにも関わらず登記手続きをせず、その事実を知らない第三者がその土地を譲り受けた場合などには、登記されている土地の登記薄・公図・地積測量図等と現地が一致しないので、あとで境界紛争などが起きる原因ともなります。
お尋ねのケースでは、元の境界線を復元し、凹凸部分を含む元の土地を測量して、登記所に凹凸部分の土地の分筆登記と所有権移転(交換)登記の申請をする必要があります。これにより、交換した土地はお互いの名義に登記され、「境界(筆界)」と「所有権の及ぶ境」が一致することになります。このように、登記することでお互いの所有権が守られ、後日の紛争も予防されることになります。

Q6.分筆登記の費用を知りたいのですが?
土地の分筆をお願いしたいのですが、費用はどのくらいかかるのでしょうか。知人の話だとかなり高額だと聞いたのですが。

 難しい質問ですね。たとえば、家を建てたいのだが費用はいくらかかるかという質問に似ています。そのように質問をされると恐らく建築会社の人も困ることでしょう。そこで、広さはどの程度にしますか、平家ですか二階建ですか、柱の材料は何にしますか、など依頼人の希望を尋ねるでしょう。それらによって費用が大きく変わることになります。
土地の分筆についても、土地の広さは費用算出の要素にはなりますが、その他にも様々な要素がありますので、一概にいくらということはできません。ただ、注意して頂きたいことは、家の場合と違って、依頼者の選択の余地がほとんどないということです。
家の場合は、材料などの選択は依頼者がすることができますし、そこまではしなくてもよいということもあるでしょう。ところが、私たちの業務は、依頼者の、そこまではしなくてよいというような選択の余地がほとんどないのです。極端な言い方をすれば、依頼者の意志に反してもしなければならない作業があるということです。たとえば、隣地との境界は杭が設置してあってはっきりしているので、隣地の所有者との立ち会いはしなくてもよいということや、隣地も自分の所有地だから、その境界はここにしてくれ、などのようなことです。境界杭については、その設置の経緯を調べなくてはなりませんし、たとえ自分の土地だからといってその境界を勝手に決めることはできません。
私たち土地家屋調査士は、「調査・測量実施要領」というものを全国一律に決めていて、それに沿って作業を行っています。また、その内容は簡単には書き表せないほど多岐にわたっています。このように、費用算出には多くの要素がありますので、一概に、分筆費用はいくら、ということができないのです。もちろん、詳しい状況が判れば、ある程度の費用を算出することができますので、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。

地積更正編

Q1.土地の実際の面積が、登記簿に記載されている面積と違っているのですが?
先日、家を建て替えるために敷地を測量したところ、登記簿に記載されている面積より約30㎡広いことが分かりました。登記簿の面積を実測面積に訂正したいのですが、どうすればよいでしょうか。

 質問のようなケースは、地籍調査等が済んでいない地域では、よく見受けられます。登記簿の面積と実測面積に違いが生じる理由は、地籍調査等の済んでいない地域のほとんどは、明治時代に測量された結果をもとに、登記簿に地積として記載されているからです。
当時と現代の測量では、機器や技術に雲泥の差があります。現代の測量は、GPSや光波距離計という非常に精度の高い機器が使われています。
このような機器や技術の差が、今日、面積の差という形で表れているのです。当然、質問のケースとは反対に、登記簿の面積より実測面積の方が狭くなることもあります。
登記簿の面積を実測面積に書き換えたい場合は、法務局に対して「土地地積更正登記」の申請をします。
まず隣接する土地の所有者と立ち会って、境界を確定し、もし、隣接地に道路や水路などの公共用地がある場合は、その管理者と立ち会って境界を確定します。
すべての境界が確定したら、土地面積を測量して、土地地積更正登記申請をします。

合筆編

Q1.数筆の土地をまとめて一筆にしたいのですが?
相続した土地に住宅を新築しようと思います。法務局で調べたところ、その土地には地番が5つあることが分かりました。1つにまとめることはできますか。

 土地には、それぞれに地番がつけられ、地番毎に登記簿が備えられています。土地は筆という単位で呼び、1筆、2筆と数えます。数筆の土地を1筆にまとめる登記を合筆登記といいます。
合筆登記をするには次の要件を満たさなければなりません。
1.所有者が同一である。
2.土地が隣接している。
3.土地の地目が同じである。
4.抵当権などの登記がない。
5.字名や地番区域が同じである。
3についてですが、5筆のうち、2筆が山林で3筆が宅地のような場合は、合筆することはできません。もし地目が違っていた場合でも、5筆の土地の上に建物を新築すればその土地は宅地になりますから、新築後にすべての土地を宅地に地目変更登記をすれば3の要件を満たすことができます。
4については、抵当権などを抹消した後に合筆登記をすることになります。ただし、例外として合筆登記をしたい土地が、同一年月日で同じ受け付け番号で登記された抵当権や根抵当権であれば合筆登記をすることができます。
登記簿には「熊本市OO町大字○字○」や「熊本市OO何丁目」などの所在が表示されていますが、5の意味はこの所在が同じでなければならないということです。
一般的には以上の要件を満たしていれば合筆登記をすることができますが、ほかにもいくつかの要件がありますので、くわしくはお近くの土地家屋調査士にお尋ねください。

地図編

Q1.地籍調査とは何ですか?

 地籍調査とは、1956年に制定された国土調査法に基づく調査の一つで、市町村などが主体となって、土地における地籍の明確化を図る目的で、土地の所在、地番、地目および境界の調査と、登記簿に記載された所有者に関する確認、並びに境界の測量および地籍に関する測定を行うことです。その調査の結果に基づいて作成された地図を地籍図といいます。
地籍図などが法務局に送付されると、登記簿の地目や面積が訂正され、課税の公平や権利の保全、円滑な土地取引、災害時の復旧などに寄与します。大変重要で有益な事業というわけです。
しかし、予算や事業の重要性についての認識が足りないためか、調査の進ちょく率は全国平均で44%、熊本県は56%にとどまっています。しかも土地取引が多い都市部での実施が遅れています。
なお、地域によって異なりますが、筆界の確認が不十分だったり、境界標や測量の基準点がほとんど亡失していたり、筆界未定になっていたりするため、後日これらの土地を測量、分筆するときなどに費用がかさむ場合が少なくありません。特に筆界未定の場合は莫大な費用がかかるため、土地を処分したくてもできない事例も生じています。

Q2.公図とは何ですか?

 公図は一般的には字図と呼ばれています。土地に対する税金(地祖)の課税台帳であった土地台帳の付属地図として、登記所に備え付けられている地図のことです。
この地図は、明治時代に地租改正のために作製されました。土地台帳制度は、昭和35年に廃止になり、この地図は登記所に保管されてはいますが、法的な制度としての存在ではなくなりました。しかも、必ずしも精度は高くありません。それでも、土地についての貴重な資料であり、裁判等では重要な役割を果たすこともあります。役所に保管されていることから公図と呼ばれ重宝されてきました。
公図のほかに「法17条地図」と呼ばれるものがあります。不動産登記法の第17条に規定されているためこのように呼ばれています。不動産の権利関係を明確にし取引を円滑に行うための登記制度にそって備えるよう定められており、正確なものです。しかし、法17条地図は、現在でもまだほとんど作製されていないのが現実です。
公の図面で精度の高いものに、もう一つ「地籍図」があります。これは市町村が行う「地籍調査」によって作製される地図です。この地図は「写し」が登記所へ送付され、先の法17条の地図、もしくはそれに準ずる図面として扱われます。しかも、登記簿上の地目、地積などが異なるときは、登記簿の記載が変更されます。
公図は一般的に「大体の方位・地形・隣地との関係位置を知るには有効であるが距離・角度・面積は的確性を欠くもの」とされます。公図を利用するには、十分に考慮する必要があります。以上の公図や法17条地図は、登記所に保管されています。閲覧し謄写することもできます。

Q3.登記所の地図には隣地との境界線が記入されてなく、筆界未定地と言われましたが?
登記所の地図には、私の所有する土地の地番と隣地の地番が○○+○○と表示されていて、隣地との境界線が記載されていません。尋ねたところ、「筆界未定地」と言われました。なぜこのようなことになっているのでしょうか。また、このまま放置しておいてよいものでしょうか。

 筆界未定地とは文字通り隣地との筆界(境界)が決まっていない土地ということです。したがって地図にその境界線が記入されていないのです。原因はいくつかありますが、一般的には、地籍調査時に隣地との境界を決める際に争いがあった場合や、立ち会いに参加できなくて境界が決められなかった場合が挙げられます。また、隣接土地所有者との間には境界についての争いはなく、現地に境界杭が設置されている場合でも筆界未定ということもあります。
筆界未定ということは、その土地の範囲が決まっていないということですので、そのままでは土地の分筆登記や地目の変更登記ができません。その他にも様々な弊害がありますので、隣接土地所有者と相談されて地図に境界線を記入(筆界確定)するようにしてください。筆界確定には土地の測量が必要になりますので、土地家屋調査士にご相談ください。

Q4.私の土地が字図の上では隣の人の土地になっているのですが?
最近、父から相続した畑について、法務局で字図と登記簿謄本をとったころ、隣のAさんの私の土地が字図上では入れ替わっていることに気付きました。字図を正しく直したいのですがどうしたらよいでしょうか。

 字図と現地が相違する場合、二通り考えられます。
まず、分筆登記を申請する時に、地番を間違って記入したり、法務局において古い字図を新しい字図に書き換えた時に、間違って転記したことなどが考えられます。この場合、分筆登記済証など原因を証明できる書面を添付して、法務局に字図訂正の申し出をすれば訂正できます。
もう一つは、作成当初から字図が間違っていたことも無いことはないでしょうが、むしろ字図は正しいけれども、その後の交換分合等で字図と現地が合わなくなった例の方が多いようです。ご質問の例で言いますと、以前おじいさんの代にAさんの土地とあなたの土地を口約束だけで交換して所有権移転登記をしていなかったなどの場合が考えられます。原因がはっきりしない場合は字図の訂正は認められませんし、交換等で占有状態が変わったりした場合にも認められません。この場合は、あなたとAさんの土地につき交換による所有権移転登記をして、現地の状況の方を字図に一致させなければなりません。
原因が分からないと思われる時でも、専門家の調査によって明らかとなる場合もありますので、最寄りの土地家屋調査士にご相談ください。

Q5.道路が字図に載っていないのですが?
現地には道路が通っているのに、字図には道路が載っていません。しかも、その部分は登記簿では私の所有名義となっています。どのようにしたらよいでしょうか。

 土地の位置を特定するのに道路は大事な目印となりますが、宇図に載っていないとなると折角の字図も十分にその機能を果たせません。また、現況は公道となっているにもかかわらず固定資産税が課税され、所有者が払わなくてもよい税金を払っている場合もあります。
そこで、問題の土地の解決方法ですが、まず、その道路が市町村道であれば市町村の担当者に立ち会いを求め、問題の土地の一筆全部が道路敷地となっているのか、それとも1筆の土地の一部が道路となっているのかを確認する必要があります。その結果、一部分が道路となっている場合はその部分を分筆することが必要となります。市町村の名義に登記を行うことについてあなたに異議がなければ、市町村で用意する登記の承諾書に実印を押印し、印鑑証明書と共に市町村へ提出すると、分筆登記も含めて登記手続きは市町村で行います。
次に、その道路が私道の場合ですが、その私道に面した土地の所有者がそれぞれ自分の土地の一部を出し合って私道を創っていることが考えられます。この場合は市町村道のように決められた方法はありませんので、それぞれの事情に応じて対処する必要があります。まずは、専門家である土地家屋調査士にご相談ください。

Q6.地番のない土地?
私の家の敷地の一部に地番のない土地があります。今度、家を建て替えるのでこの土地を私名義にしたいのですがどうしたらいいですか。

 地番のない土地とは、登記所に備え付けられた公図(字図や国土調査の図面)や17条地図と呼ばれる地図に地番のない土地のことで、登記簿もなく地目や面積、所有者も分からないといった土地のことだと思われます。このような土地には、道路や里道・水路等の長狭物と呼ばれるものと、地図上では他の宅地や畑と変わらないような形のものとがあります。
これらの土地は一般的に公共用地ですので、所有名義を自分のものにしたいときは、これを管理する役所と境界の立会をし、境界を確定した上で払い下げを受けなければなりません。前述の長狭物のうち、市町村道はそれぞれの市町村役場で管理しており、あなたの場合のように宅地等の一部になっていて道路としての機能が無くなっている場合は、議会等の決議を経て払い下げが認められる場合がありますので、それぞれの市町村役場でご相談下さい。
また、里道や水路は国有地ですが、現在その役目を果していなくて将来も果たす必要の無い場合は、払い下げが認められますので、これを管理する各市町村役場にご相談下さい。
これら長狭物のほかにも、以前遊水地であったものや崖地であったものなどいろいろあり、その従来の用途により市町村が管理したり財務局が管理したりしますが、もし公共用地として必要のない土地であれば払い下げが認められますので、とりあえず市町村役場に相談されるのがいいでしょう。
払い下げ手続き終了後は、その土地の登記簿を創ってあなた名義に登記をするために、登記所に土地の表示登記と土地の保存登記を申請することになります。

境界編

Q1.境界標(杭)の種類にはどんなものがありますか?
現在、隣地との境を生け垣としているため境界がはっきりしません。隣と境界を決めて杭(くい)を設置したいと思いますが、どのような物が良いでしょうか。

 最近、境界をめぐるトラブルが多くなってきています。相続などで代替わりし、事情を知らない隣同士が境界争いをするなどが典型的な例として挙げられます。
こうした争いを予防するため、平成5年に不動産登記法施行細則が改正され、土地の境界点に永続性のある境界標が設置されている場合には、登記申請などで提出する地積測量図にこれを表示することになりました。また、境界標がない場合には、境界点と恒久的地物(測量の基準点、ビルの角など)との位置関係を地積測量図に書き込まなければなりません。
土地の境界を特定する最も有効な方法は、何といっても、境界標を設置することです。多少費用がかかりますが、お隣と境界の確認をしたときは、是非永続性のある境界標を設置するようにしたいものです。
さて、境界標の種類には、石杭、コンクリート杭、金属標、プラスチック杭などがあります。そのうちでも、長さが60センチメートルを越える頑丈な石杭やコンクリート杭を設置した場合は、人為的に動かすことがない限り半永久的に動くことがなく、正しい境界点を表すことになります。このような境界標を永続性のある境界標といいます。また、これよりも小さい石杭やコンクリート杭であっても、コンクリートで根巻きをするなどして補強すれば、永続性のある境界標となります。
また、都市部などでは石杭やコンクリート杭が埋設できない場所があり、この場合は金属標を設置することになります。この場合には、コンクリート側溝など頑丈な場所にアンカーピンを埋め込むなどして金属標を固定させることにより、永続性のある境界標とすることができます。プラスチック杭は一般的には永続性は余り期待できません。
ところで、設置した境界標は自分達で管理することが最も大事なことです。自分の土地は自分で管理しなけらばならないのと同じように、その境界標も隣接する所有者同士が自ら管理することが大切です。

Q2.隣地の所有者から土地の境界の立ち会いを求められましたが?
隣地の所有者から、境界をブロック塀にしたいということで立ち会いを求められましたが、境界線がよく分からなくなっています。どのように対処したらよいでしょうか。

 土地の境界はお互いの財産を守るものです。隣接地のためだけではなく、あなたの財産を守るために、境界立会にはぜひ協力しましょう。
境界立会の方法ですが、まず土地の境界を確認するための資料をできるだけ集めます。法務局には、字図あるいは地籍調査の際の地籍図等があり、土地によっては地積測量図がある場合もあります。字図とは、明治時代に土地税を徴収するために測量をして作成されたもので、土地の隣接関係を見るのには良いのですが精度は悪く寸法などは分かりません。地籍調査が終わっている地域には字図に代わって、字図よりも精度のよい地籍図が備え付けられています。また、あなたの土地やお隣の土地が、以前に分筆されたり、地積更正がされたりしていれば、そのときの地積測量図が法務局に備え付けられています。
法務局に地籍図や地積測量図がある場合は、それらの図面を元に境界の復元をして立ち会いをします。この場合は、個人で復元するのは難しいと思われますので土地家屋調査士に依頼されることをお勧めします。法務局に字図しかない場合は、字図の形状と現況の占有状態から判断して、お互いの話し合いで境界を決める方法が一般的です。いずれの場合も、境界立ち会いが終わりましたら、確認した境界点に堅固な境界標を設置し、お互いに境界確認書を取り交わして、後日の紛争がないようにしましょう。

Q3.境界の分らない土地を購入することになったのですが?
念願のマイホーム建築のため土地を購入することにしました。知入が「境界がはっきりしていない土地があるから気をつけるように」とアドバイスをしてくれました。境界がはっきりしないなどということがあるのでしょうか。

 境界がはっきりしないということは、特に珍しいことではありません。土地の所有者や隣地の所有者などのすべての関係者が境界をはっきりとは知らないというような場合もあれば、当事者は自分なりにここが境界だと思っているものの、お互いの認識が違っていて結局はっきりしないという場合もあります。原因はさまざまですが、土地購入の際は境界について十分注意することが必要です。
当然のことですが境界がはっきりしないと、購入後に隣地との間で卜ラブルが起こりかねません。仮に、今は卜ラブルがなく現実に十分な使用ができていても、土地を売却しようとした際に、買主に売却する土地の境界の説明ができなければ、譲渡できないこともあります。
そこで、土地を購入する際は、売り主に、隣の土地の所有者と立ち会いの上、実測図面(土地家屋調査士等作成の署名押印入りのもの)を作ってもらうことが一番確実です。その時は、図面と現地の境界標が合致することを確認しておきます。仮に、実測図面がない場合には、売主が隣地の所有者と立ち会いの上、境界標を設置したことを証明できる境界確認書をもらってください。

Q4.地籍調査時の境界立ち会い?
役所から、地籍調査を行うので境界の立ち会いに出てほしいとの連絡がありましたが、どういうことでしょうか。

 地籍調査は、国土調査法に基づき市町村が主体となって一筆ごとの土地の形状・地目・地積などを調査するものです。また、その成果は法務局の登記簿に登記され、測量図は法に定められた地図となります。
よって、境界を誤って確認してしまいますと実際の境界とは違った図面が作成され、地積も誤って書き換えられてしまいます。また、境界が決まらない場合は、筆界未定地とされ、地図に境界線が書き込まれないままになります。いずれの場合もその修正作業には、多くの手間がかかり、多額の費用を負担しなければなりませんし、土地を処分しようとしてもできないことにもなりかねません。
土地所有者としては、
1.必ず現地で筆界確認し、資料となる図面などがあれば持参する。
2.筆界が決まらない場合でも、筆界未定にならないよう辛抱強く何度でも話し合い、譲歩しあって筆界を確認する。
3.確認できた筆界には半氷久的に残るような境界標を設置する。
ことをお勤めします。
また、地籍調査は、境界線がどこにあるかを調査確認するものであって、勝手に境界線を変えることはできません。ただ、土地の一部が他の地目に変更されている場合は、他の法令に抵触しない範囲でその部分を分筆して地目の変更ができますし、要件がそろえば数筆の土地を一筆の土地にまとめることもできます。
なお、地籍調査の結果作られた図面は、最後に一定の期間閲覧ができますので、この期間に是非閲覧をして、自分の土地の境界に間違いがないかどうかを調べて下さい。

Q5.地籍調査された土地の境界立会はどのようにすればよいのでしょうか?
最近、父から相続した土地に家を新築するため、境界立会をしようと思い、法務局を調べたところ、私の土地は国土調査された土地だと判りました。国土調査された土地の境界立会はどうすれぱ良いのでしょうか。現地は荒れていて、どこが境界かはっきりしません。

 あなたの言われる国土調査とは、市町村等が主体となって、土地を調査・測量をする地籍調査のことです。地籍調査された土地の図面は、一定の閲覧期間を経て、法務局に送付されます。送付を受けた法務局では地籍調査の結果のとおりに登記簿の面積や地図を書き換えます。
今までに境界立会が一度もされていない土地であれば、現地の地形や法務局備え付けの字図等を参考にして、お隣との立会のもとに境界を決めれぱ良いのですが、地籍調査された土地は、一般的には調査された時点で境界立会が済んで境界が確定していますから、地籍調査時に立ち会ったとおりに境界を決める必要があります。
あなたの場合、境界がはっきりしていないということですから、まず地籍調査時の境界を現地に復元する必要があります。境界は、役場の資料や法務局備え付けの国土調査地籍図を基にして復元するのですが、測量をしなけれぱ復元できない場合が多いので、専門家に依頼した方が良いでしょう。
そうやって、仮に復元をしておいて、隣地の所有者と境界立会をします。復元した場所をよく探すと、地籍調査をして決めたときの境界杭が出てくる場合もあります。復元した境界点に何も見つからなかったときは、隣接の所有者と協議して、復元した境界に境界杭を埋設しましょう。ときには、お隣同士の話し合いだけで境界としてプロック塀などを設けている場合がありますが、測量をして復元した境界線とブロック塀の線が大きく違っているときは、復元した境界の方が正しい境界線であることが多いようです。
決まった境界には根巻きコンクリート杭などの堅固な境界杭を埋設しましょう。堅固な境界杭を埋設しておけば、今後はトラブルもなくなります。境界杭はあなたの土地を守る大事な杭ですから、自己管理していくことが大事です。

Q6.建物を新築する場合の土地の境界について?
父からもらった土地に家を建てようと思いますが、隣接地との境界がはっきりしません。どうしたらいいでしょうか。

 新しく家を建てるとき、境界線がはっきりしないと建築ができない場合があります。また、家の新築に伴い、新たにブロック塀を造ったり、石垣を築いたりすることが多いので、後日のトラブルを防ぐためにも、境界の確認は是非行いたいものです。
市町村道との境界については、その道路のある役所または役場が管理していますので、担当する課に問い合わせるか、お近くの土地家屋調査士に相談して下さい。
道路や里道・水路以外の隣接した土地の境界については、その土地の所有者と立ち会って境界を確認する必要があります。中には、所有者が遠方にいて、立ち会えない場合もありますが、その時は所有者に誰か代わりの人に委任してもらい、その人と立ち会うこともできます。
借地人やアパートの管理人は、普通土地の境界までは管理していませんので、この場合は、所有者に確認された方がいいでしょう。なお、隣の土地の所有者が誰か分からない場合は、法務局で、手数料を払って登記簿を調べることができます。

その他

Q1.私の土地に沿って使用されていない水路があるので払い下げを受けたいのですが?

 「地番のない土地」の欄をご覧ください。

Q2.土地の面積の計算方法?
分筆登記をしたところ、測量図面にはX座標とY座標に加え、面積が書いてありました。どうやって面積を計算してあるのですか。

 土地の面積の計算方法にはさまざまな方法があります。以前よく使われていたのは三斜法です。図面に書かれた土地をすべて三角形に区分した後、底辺×高さ÷2の合計で面積を出していました。しかし、この方法では、底辺や高さを三角スケールで読みとって出すため誤差が大きいという欠点がありました。また、測量するときも平板測量という方法で行っていて、この測量の時にも誤差が生じました。
近年、機器が進歩したため距離や角度をミリ単位、秒単位で測量することができるようになりました。境界点の座標値を計算によって求め、これにより土地の面積計算や図面作製をしています。
座標に基づいて面積計算する方法には、座標法や倍横距法(ばいおうきょほう)、合緯距・合経距法などがありますが、どれも結果の面積は同じになります。原理は簡単で、中学で習った数学程度の知識があれば理解できます。三斜法より精度が高く、面積も信用できると思って下さい。
距離の算出も、皆さんが中学で習ったレベルの数学で求めることができます。各境界点を座標値にしておけばどの境界点間の距離、角度も簡単に求められます。もし、土地の一部の境界杭が紛失した場合でも、残っている境界杭の座標値をもとに、紛失した境界杭を復元することもできます。
このように精度が高く信頼性があり、土地の境界の復元性が高いことから、最近の地積測量図はほとんど座標値によって作られています。また、座標値にしておけば、全て計算で処理できることから、最近は測量から図面作製まで、ほとんどコンピューター計算によって処理されています。